QECCの一般論

Published: 2025-03-24 (Last Updated: 2025-03-25)

量子情報 QECC

量子誤り訂正の教科書QECCbookの勉強記録です。今回は第2章の量子誤り訂正符号(Quantum Error Correction Codes, QECC)の一般論を取り扱います。

QECCの定義

def (QECC)

QECCは partial isometry U:HKHNU : \mathcal{H}_K \to \mathcal{H}_N と エラー集合 E\mathcal{E} (線形演算子 E:HNHME : \mathcal{H}_N \to \mathcal{H}_M の集合) の組 (UU,E\mathcal{E}) である

ただし E\mathcal{E} には

 CPTP map D:HMHK  s.t. EE,ψHK,D(EUψψUE)=c(E,ψ)ψψ \begin{align*} &\exists \text{ CPTP map } D : \mathcal{H}_M \to \mathcal{H}_K \;\\ &\text{s.t. } \forall E \in \mathcal{E},\forall \ket{\psi} \in \mathcal{H}_K, D(EU\ket{\psi}\bra{\psi}U^\dagger E^\dagger) = c(E,\psi)\ket{\psi}\bra{\psi} \end{align*}

が成り立つ必要がある (つまり訂正できる必要がある)


UU がエンコーダー、DD がデコーダーに対応しています。

係数 c(E,ψ)c(E,\psi)c(E,ψ)=tr(EUψψUE)c(E,\psi) = \text{tr}(EU\ket{\psi}\bra{\psi}U^\dagger E^\dagger) を意味しています。

デコーダー DD を扱いやすくするためにStinespring dilationにて物理操作 DD に対応するユニタリ演算子 V:HMHDHKHDV : \mathcal{H}_M \otimes \mathcal{H}_D \to \mathcal{H}_K \otimes \mathcal{H}_{D'} を用いて考えます。

V(EψN0D)=c(E,ψ)ψKA(E,ψ)DV(E\ket{\overline{\psi}}_N \otimes \ket{0}_D) = \sqrt{c(E,\psi)} \ket{\psi}_K \otimes \ket{A(E,\ket{\psi})}_{D'}
Figure1

theorem (エラーの線形性)

(U,E)(U,\mathcal{E}) がQECCならば、(U,span(E))(U,\text{span}(\mathcal{E})) もQECCである


この定理から次の重要な系が導かれます。

corollary

あるQECCがパウリ演算子のテンソル積による重み tt 以下の任意のエラーを訂正可能ならば、tt-error 訂正符号である。


任意のエラーはパウリ演算子のテンソル積の線形結合で表現できるため、上の定理よりこの系が成り立ちます。

この系からエラー訂正符号の設計はパウリ演算子のテンソル積によるエラーの訂正能力に注目すればよいことがわかります